皆の皮膚に潜んでる!?「顔ダニ」の8つの駆除方法と6つの症状について

「顔ダニ」というものをご存じでしょうか。時々、テレビの情報番組や週刊誌の特集などで取り上げられたりしているので、「名前は見たことがある」、「なんとなく知ってる」という方もいるのではないかと思います。
この記事では、「顔ダニ」とは何なのか、また駆除の方法や、顔ダニと関係のある症状についてまとめています。
あなたが気になってることはありますか?
顔ダニとは!?
「顔ダニ」とは、「ニキビダニ」の俗称です。
節足動物門(せっそくどうぶつもん)鋏角亜門(きょうかくあもん)クモ綱(もう)ダニ目(もく)ケダニ亜目(前気門亜目)ニキビダニ科ニキビダニ属に属する動物です。体長約0.3mm、体幅約0.05mmと、顕微鏡を使わないと見ることはできません。
ダニという名前がついていますが、イモムシのような形をしています。
ニキビダニは全ての哺乳類の皮膚の分泌腺に寄生していて、主に毛包(毛を生産する器官)に寄生することから、「毛包虫(もうほうちゅう)」または「毛嚢虫(もうのうちゅう)」とも呼ばれています。
また、ニキビダニという名前ですが、ニキビではない健康な場所にも見られます。
顔ダニは、どんな人の顔にもいると言われています。毛穴の奥や皮脂腺に住んでいるので、顔以外の皮膚の毛穴にもいますが、人は特に顔面の皮脂腺が発達していてニキビダニも顔に多く寄生していることから顔ダニと俗称されるようです。
実は意味がある!?顔ダニの役割について
生まれたばかりの赤ちゃんには顔ダニは寄生しておらず、親に抱かれるなどして皮膚が触れることで感染するようです。
感染と聞くと怖いものに聞こえるかもしれませんが、そんなこともありません。
顔ダニは一時期、悪者のようにクローズアップされてしまったこともありますが、古い角層細胞や皮脂を食べており、病原性は無いとされています。
実は人の皮膚には、たくさんの「常在菌」というものが存在しています。それらは約20種類、なんと数百億個もの常在菌が生息しているそうです。菌は人に害を与えるばかりのものではありません。
ニキビ繋がりで、アクネ菌というものも、人の皮膚や毛穴に存在する皮膚常在菌です。昔はアクネ菌はニキビの原因菌だと言われていましたが、現在では、アクネ菌はニキビの直接的な原因菌ではなく、悪化させる要因になる菌だと言われています。
通常は皮膚を弱酸性に保って有害な菌が皮膚に定着するのを防ぐ働きがあると考えられています。
顔ダニが増える3つの原因
顔ダニは通常悪さをするものではありませんが、何らかの原因によって増えることがあります。
顔ダニが増える主な原因は以下のことが考えられるようです。
原因1.皮脂が必要以上に分泌されている
顔ダニは皮脂を食べている虫なので、皮脂が増えれば顔ダニも増えると言われています。そして皮脂が多く分泌される原因は様々あります。
まずは、男性ホルモンです。女性よりも男性の方が油っぽい肌をしているのは、男性ホルモンが皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を促しているためですが、女性の卵巣からも男性ホルモンの一種が分泌されています。この男性ホルモンはストレスや睡眠不足でも分泌されます。
皮脂は気温が高い時、思春期、生理の前などに多く分泌されます。また肌は、乾燥したり洗浄力の強い洗顔料を使うと肌を守ろうとしてたくさん皮脂を分泌します。あとは食事も関係します。脂質の多いものを多く食べると皮脂の分泌も過剰になります。
原因2.長くステロイドを使用している
ステロイドは内服薬ですと、子どもであれば身長が伸びない、免疫が抑制されるため感染に弱くなる、顔が丸くなる(ムーンフェイス)、骨が弱くなるなどの副作用があり、糖尿病や白内障を誘発することもあるそうです。
そのため外用薬が開発されましたが、ステロイド外用薬は長く使うと皮膚が委縮し、弾力の無い薄い皮膚になります。
皮膚は薄いと水分を保つのが難しくなるので乾燥しやすく、乾燥した皮膚を守ろうと皮脂は多く分泌されやすくなります。
ちなみにステロイドもメディアなどによって多くの誤解を受けている薬です。ステロイド外用薬を使うと皮膚は黒く厚くなると言われることがあるようですが、ステロイド外用薬による副作用で皮膚は白く薄くなると言われております。
委縮した皮膚は薬を止めれば皮膚が生まれ変わる一カ月後には元に戻るそうで、黒く厚くなるのは、湿疹を放置していることが原因だそうです。(ステロイドの使用や使用をやめる時は、くれぐれもお医者さんとよく相談してください)
原因3.免疫力が低下している
免疫力は低下すると風邪をひきやすかったり、または治りにくいなど様々なサインを出します。
免疫力の低下は肌の新陳代謝(ターンオーバー)を乱れさせ、皮脂の分泌が過剰になったり、紫外線によるメラニンの生成を促進させたりして肌荒れを起こしたりします。また皮膚の表皮にあるランゲルハンス細胞は、肌にあるバリア機能の司令塔のような働きをしています。
外からの異物を攻撃して排除したり、刺激に対する過剰な反応を鎮静化させて肌トラブルを防ぐ自己防衛機能も担っています。
鎮静化させるためにランゲルハンス細胞は鎮静化酵素を出しますが、この酵素は加齢によって減少すると言われています。また肌の乾燥やストレス、紫外線などはランゲルハンス細胞の働きを弱くすると言われています。
顔ダニの繁殖によって起こる6つの症状
顔ダニは皮膚の常在菌のようなもので、皮脂バランスを保つような役割があると言われていますが、顔ダニの繁殖と関係する症状には以下のものがあると言われています。
症状1.ニキビや湿疹(特徴)
顔ダニはニキビの内部に多数見られることがあります。そのことから、ニキビの発生の原因が顔ダニと言われることもありますが、顔ダニが何らかの事情で過剰繁殖してニキビを発生させているのか、もしくはニキビが発生してから顔ダニが過剰繁殖しているのかなどは確かな解明はされていないようです。
ニキビには種類があり、中でも「赤ニキビ」と呼ばれるものは上の方の記述『実は意味がある!?顔ダニの役割について』の中で触れた「アクネ菌」が関与しています。
アクネ菌は通性嫌気性という酸素があるところでも生育はできるけど、基本的には酸素が無いところを好む性質です。
そのため通常時は増えすぎることはないのですが、毛穴が角栓などによって塞がれると酸素に触れない環境となってアクネ菌は毛穴の中の皮脂を栄養として急激に増殖します。
増殖したアクネ菌は細菌性リパーゼという酵素を生み出し、その酵素は皮脂を遊離脂肪酸という悪い脂に変えます。
これらの酵素や悪い油によって毛穴の奥の毛包が刺激されて痛めつけられ、炎症や化膿を起こし、周辺組織の破壊にまで及ぶことがあります。
このような感じで毛穴が詰まってニキビが発生する場合や湿疹となる場合、毛穴に皮脂が溜まるので、皮脂を食べる顔ニキビも多く見られることになります。
湿疹は炎症によって変化した表皮のことを示す用語で、ニキビは尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)という炎症性皮膚疾患のひとつです。
できやすい箇所
毛穴詰まりを起こす角栓ができる原因のひとつに過剰な皮脂の分泌があります。
そのため、ニキビも皮脂の分泌の多い箇所にできやすくなります。
皮脂の分泌が多く毛穴が詰まりやすいと言われる個所は、顔のTゾーン(鼻、額、こめかみ)、男性ホルモンの影響を受けるUゾーン(フェイスライン、あご、首)、背中です。
症状2.毛穴の開きや黒ずみ
毛穴の開きや黒ずみは過剰な皮脂の分泌が関係しています。
毛穴は乾燥などで肌に潤いがない時、過剰に皮脂を分泌して肌を守ろうとします。その状態が毛穴が開いた状態です。
そして黒ずみは毛穴に詰まった角栓(白い塊)が酸化して黒くなったものです。
過剰な皮脂の分泌もしくは、きちんと洗顔できていない人の毛穴にできやすいと言われています。
症状3.肌が乾燥する
健康な肌は保水が保たれ、肌バリアを作って外部からの刺激や細菌などをブロックしています。
しかし保水が保たれず、肌が乾燥するとバリア機能が弱ってしまうため皮脂を多く分泌して肌を守ろうとします。
そのため、肌の乾燥と皮脂の過剰な分泌は繋がっています。
症状4.シワやシミができる
シワやシミは加齢によるものが大きいですが、それは加齢によって肌の新陳代謝を支える成分が減ってしまうためです。
肌の新陳代謝が衰えると肌は弾力を失うためシワができたり、新しい細胞が生まれるサイクルが順調にいかないので色素沈着がすすんでシミができやすくなります。
古い細胞、角質が肌に残るので、それを餌にする顔ダニも多くみられるようになります。
症状5.赤ら顔
お酒を飲んだわけでもないのに顔が赤く見える「赤ら顔」の原因のひとつに、脂漏性皮膚炎というものがあります。
皮脂の分泌が多いTゾーンに多く見られる傾向があります。ニキビと脂漏性皮膚炎は異なった疾患ですが、伴っていることが多いようです。
また乾燥肌の人が強いストレスを受けて脂漏性皮膚炎を患ったり、またはニキビができたりすることがあります。
特徴的なのが、それが学生時代にはニキビがあまりできなかった女性が社会人になってこのような症状を発症することが結構多いことです。
もともと皮脂の分泌の多い男性よりも、女性はストレスなどに影響を受けて皮脂の分泌が急激に増えることがあるためではないかと考えられるようです。
症状6.アレルギー反応でかゆい等の症状がでる
肌がかゆくなる原因は様々あり、アレルギー反応で有名なものにアトピー性皮膚炎などがあります。
かゆみを伴うものの多くは肌荒れや乾燥状態になっており、皮脂の分泌も多くなっているので顔ダニが多く見られることもあります。
しかし顔ダニは、あまり研究対象になっていないようで、アレルギー反応に顔ダニそのものが関与しているのかいないのかは解明はされていません。
顔ダニの8つの駆除、対策方法
顔ダニには病原性は無いと考えられるとは言っても、皮脂の多い箇所に多く見られることは事実です。
過剰に分泌された皮脂やいらない角栓を取り除くこと、また過剰な皮脂の分泌を抑えることは、顔ダニの駆除や対策にもなります。
1.朝と寝る前の洗顔をしっかり行う
洗顔はやりすぎると返って肌を痛めてしまうことがあります。
特にオイリー肌の方が、「肌が油っぽいから何回も洗顔をしてるのに、すぐ顔がテカテカになる!」というのは、洗いすぎて保水できていない肌が皮脂を出して肌を守ろうとしているためです。
また反対に、あまりにも洗顔しないというのも肌は老廃物のたまり場になり不潔になって皮膚病を誘発します。
通常は朝と夜寝る前の2回ほど、しっかり洗顔して適度な清潔を保ちましょう。
顔ダニを駆除する洗い方
人に寄生する顔ダニはニキビダニとコニキビダニの2種類がいて、コニキビダニは皮脂腺の細胞を餌にしていると考えられています。
皮脂腺は、表皮、真皮よりもっと下の皮下組織にも達していて洗顔フォームなどで顔ダニを完全駆除することは不可能で、またその必要もありません。顔ダニを駆除するというよりは、余分な皮脂や汚れを取る洗顔を心掛ける必要があり、増えすぎた顔ダニを減らすことにもなります。
顔ダニ専用の石鹸を使ってみる
上の項目でも触れているように、顔ダニは完全に除去はできません。
顔ダニだけが対象であれば、特別な石鹸は必要であるとは言われていないようです。
ただ顔ダニ用をうたっている洗顔は、肌表面の殺菌や油分の除去に特化して作られているようです。
2.クレンジングをしっかりする
ファンデーションやリップクリームなどが肌に残ったままだと、毛穴が詰まる原因になったり肌の新陳代謝を妨げたりします。
一日の終わりにはしっかりと落としましょう。
また汗をたっぷりとかいた後も、汗をすぐに拭きとるか洗った方がいいでしょう。
汗には塩分や尿素が含まれているので雑菌が繁殖しやすくなります。
3.化粧水はビタミンC誘導体のものを使う
そのままでは効果の得られにくいビタミンCを加工して作られたビタミンC誘導体には、ニキビの予防となる効果、炎症を抑える作用や肌の弾力となるコラーゲンの生成を促す作用があると言われており、肌の代謝を助ける作用などに期待ができます。
4.定期的に顔の毛を剃る
顔の産毛は、ほこりなどの外的刺激から肌を守ってくれています。
しかし一方で、産毛に皮脂やほこり、汚れなどが付着して絡んだままとなって肌表面の菌の増殖に繋がることがあるので、定期的に肌に負担をかけない方法で顔の毛を剃ることは、余分な皮脂や汚れを除去して清潔を保つほか肌が明るくなるという効果が望めます。
5.化粧を薄めにする
化粧を厚くすると当然、クレンジングも念入りに行わないと肌に化粧が残ってしまいます。
しかし強い洗浄力を持つ洗顔料や複数回の洗顔は肌を乾燥させて傷つけてしまうこともあるので、それほど必要でない時は、化粧は薄めにした方がいいでしょう。
6.油物を控えビタミン豊富なものを摂取する
揚げ物やチョコレート、ケーキなどの油分の多いものは、皮脂の分泌が増えます。油物の多い、または偏った食事は控えましょう。
ビタミンには肌を健康に保つための成分が多く含まれていると言われており、水溶性のビタミンは体に溜め込むことはできないので、日々豊富に摂取しましょう。
7.10時~2時はしっかり寝る
ターンオーバーと呼ばれる肌の新陳代謝には、成長ホルモンが関与しています。
この成長ホルモンは質の良い睡眠の最初の3時間、特に深い眠りの90分間に最も多く分泌されると言われています。
逆に良い睡眠を取ることができないと、ターンオーバーが乱れて肌荒れを起こすので睡眠不足は美肌の敵と言われます。
通常、人が良い眠りを得る環境を作りやすいのが夜の10時から深夜2時なので、この時間にしっかりと寝ることが理想ですが、生活環境は人によって違うので、自分に合った質の良い眠りを取れる環境作りをしてください。
8.寝具を清潔に保つ
肌だけ適度に清潔を保っても、寝具や衣服が汚れていたり、通気性が悪いものですと肌はすぐに汚れやすくなってしまいます。
特に首元に触れる部分の清潔は重要です。枕カバーはこまめに洗いましょう。
まとめ
✅顔ダニはニキビダニの俗称であり、新生児以外のほとんどの人の皮膚に寄生し、皮脂などを食べて肌の皮脂バランスを保つ役割があると考えられ、病原性はないとされています。
✅顔ダニはニキビの内部に多くみられますが、皮脂を食べる虫であるため皮脂の分泌が多い箇所では多く見られます。皮脂の分泌が過剰になる原因は様々あります。
✅ターンオーバーと呼ばれる肌の新陳代謝の乱れや乾燥は皮脂の過剰な分泌を招きます。適切な回数で洗顔をして適度な清潔を保つことは肌トラブルを予防に繋がります。
✅余分な皮脂を落とす肌ケアで増えすぎた顔ダニは減少させることができます。過度な反応で顔ダニの駆除に特化して肌ケアすることよりも、適切な洗顔、食生活の見直し、質の良い睡眠、肌に触れる衣服や寝具の清潔などを心かけて健康な肌作りを目指しましょう。
生活する中で食事や睡眠や寝具を清潔にすることなど、簡単にできることが多かったと思います。
もし顔ダニが気になる方はできることから始めることをおすすめ致します。